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  • 1999年11月中旬の日記
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    11月11日
     電話で午前中に起きてしまう。起きたついでにレッツノートにスイッチを入れ、資料を読みながらExcelで年表作り。これがそのまま新作のプロットになる予定。
     午後は、昨日、行きそびれた東池袋の会社に出かけて用件をすませる。
     その帰り、徒歩で池袋のジュンク堂にまわり、資料を探す。一昨日、神保町の三省堂で買えなかった本を見つけ、さらに予期していなかった本を見つけてラッキー。
     帰途、保谷駅前の喫茶店で資料読みをした後、近くのアカシヤ書店という自動車・バイクに強い古書店に寄って、昭和6年と昭和16年に刊行された本を購入。5000円と1500円也。高いけれど資料と思えばしかたがない。
     帰宅後、先日、すがやみつるの行方を捜していた恐怖の追跡 〜あの人たちは今?〜を覗いてみたら、けっこう色んな人たちが捜索されているんですね。
     マンガ家の中で捜索されていた西谷祥子さんには、先日の石ノ森章太郎先生の長男・丈君の結婚式で、久しぶりにお会いし、二次会までご一緒しました。とても元気バリバリでした。西谷さんは、石ノ森章太郎先生が主宰していた同人誌「墨汁一滴」の流れを汲む「墨汁二滴」という同人誌の出身で、ぼくたち「墨汁三滴」まで含めた「一滴〜三滴」の合同宴会をやろう……などと提案してました。もう30年ちかくも前、細井ゆうじと2人で、西谷さんの応援アシスタントをしたこともありました。「月刊セブンティーン」に100ページが一挙掲載された『我が魂の清ければ』という太平洋戦争を舞台にした青春戦争マンガでしたが、そこで飛行機や戦艦の絵を描いたところ、マンガ評論家に、メカが実にリアルだった……と誉めらたりしておりました。今、ぼくは架空戦記小説、細井も架空戦記マンガ。どちらも、あまり進歩しておりません。
     浪花愛さんも捜索されてましたが、同じ日、浪花さんの旦那と一緒に朝まで飲んでました。浪花さんも元気だそうで、同人誌活動にも熱心だとか。

    11月12日
     鈴木輝一郎さんもホームページで悩んでいた「週刊ポスト」の「世紀末特別企画アンケート」というのが、うちにも来た。「識者300人が選ぶ今世紀ベスト<ミステリー・映画・美女>」というアンケートだが、どうして「識者」に選ばれたのかが、まず不思議。「指揮者」でもなければ「色者」でもないし……。10年ほど前は、郵政省などの諮問委員会というのに、よく参加していたが、これは「学識経験者」になるらしい。まわりは確かに学識経験者ばかりで、高卒なんて、ぼくくらいのものだったろう……と、すぐに学歴コンプレックスが顔を出してしまうのであった。
     で、アンケートは、ミステリー、映画、美女のベスト5を選ばないといけないのだが、それぞれ『ジャッカルの日』(フレデリック・フォーサイスのデビュー作)、『ワイルドバンチ』(サム・ペキンパー監督の個人的な最高傑作)、『ジュディ・ギースン』(シドニー・ポワチエ主演の『いつも心に太陽を』に女子高校生役で出ていた上唇がツンと上を向いた可愛い女の子。後に『藪の中の情事』というスウェーデン製ポルノに出ているのを知りガックリ。イメージが壊れるので、この映画は見ていない)を選ぶ。美女は、芦川いづみが2位。年齢がバレますね。
     所沢まで古本市に行くつもりだったのに、雨だったので中止。シコシコとExcelで年表作りをつづけるも、パソコンの画面の見過ぎか、目が不調。ちとマンガのネームをやらないといけないのに画面が霞んで見えるので、断念して早め……といっても午前3時に寝る。

    11月13日
     マンガのネーム(プレゼン用の見本だけど)の締切日なので、午前8時に起きてパソコンに向かう。PageMaker 6.5Jの画面でコマ割りし、ここにネームを打ち込んで、さらに必要な画像をキャプチャーしてコピー。これをプリントして、人物や背景をシャープペンシルで入れたものをFAX。同時にPageMaker 6.5Jから出力したPDFファイルに、キャプチャーした画像のファイルも添えてメールで送信。作画を担当する漫画家さんが、カラープリンターで出力した用紙に絵を入れれば楽でいいだろう……という配慮だが、果たして、うまくいくかどうか……。おそらく本番のときは、ネームもすべて手書きになるだろうが……。パソコンの前にいると仕事が進まないので、喫茶店やファミレスをハシゴすることは目に見えているので。
     なんとか午後にはネームの作業も終了。久々にデスクトップパソコンにスイッチを入れたので、ついでにNetscapeで、このホームページを確認したら、画面表示がボロボロなので、少し手を入れる。久々にPostPetも開いてみたら、去年結婚した姪からメール。6ヶ月になる赤ん坊の写真が何枚も添付されていた。
     プランニングハウスからうさぎ屋こと妹尾ゆふ子さんの『魔法の庭』(3)と、飯田雪子さんの『リアライン』が届く。どちらもファンタジーで面白そう。飯田さんは甥の嫁さんと大学の同級生で、一昨年の結婚式で同席していたらしい。
     眠気をこらえてExcelで作った年表に、必要な書類のリンクを張っていく。この作業が一段落したところで架空戦記の原稿の続きにかかる。朝早く起きると1日が長い。
     パソコンの麻雀ゲームで四暗刻を上がった。バンザイ!

    11月14日
     午後、カミサンを引き連れて所沢駅前の「くすのきホール」で開催されている古本市に出かける。会場が広く、1時間かけても半分も見て歩けない。とりあえず、この時点で買い集めた本をカミサンに持ち帰ってもらい、こちらは、ひとり会場に残る。
     帰りに喫茶店で仕事をするつもりで、背中にはレッツノートAL-N2と予備バッテリーを詰めたリュックサックを背負っていたのだが、会場内で本を抱えて歩いていると、腰と腕がイテテテテ。我慢して残りを見て歩き、会計をして、会場外に用意されていた喫茶コーナーでコーヒーを飲んで一休み。腰を叩きながら本を読み、さて帰ろうかとエレベーターの前に立ったら、着いたエレベーターからSF作家の岬兄悟さんが降りてきた。古本市は今日が最後で残り時間は30分ほどのため、二言、三言、話しただけで岬さんは会場へ。所沢の古本市に行ったら、地元の岬さんに会ったりするかも……と思っていたら、ホントに会ってしまってビックリ。
     所沢駅から西武池袋線に乗って保谷駅まで戻り、喫茶店で買ってきた本を1冊読了。あまりにも腰と背中が痛いので、原稿を書くのは断念して駅前の駐輪場に置いてあった自転車に乗って帰宅。何のためにレッツノートを背負ってきたんだろう?
     家に戻って夕食をとり、座椅子を倒して腰を伸ばした後、コンピュサーブにつなぐと、フォーミュラ・ニッポンの結果を教えてくれという質問がヨーロッパのメンバーから入っている。あわわ、今日が最終戦だったと急いで@niftyオートレーシングフォーラムからレース結果をダウンロードし、英文のレース結果を作成して、コンピュサーブに送り込む。
     再び座椅子にダウンしてテレビを見ながら読書。少し疲れも抜けてきたので、フジテレビでフォーミュラ・ニッポン最終戦の観戦。初の東ショートコースのレースだが、1コーナーの角度を深くするとかしないと、抜き場がなくて面白くないぞ。

    11月15日
     昨日の古本市疲れで、腰と背中が痛くてたまらない。終日、パジャマ姿でグダグダしながら、レッツノートのExcelで新作小説のプロットの煮詰め。Excelで作成した年表が、そのままプロットになり、セルをクリックすると関連の資料(テキストファイル、HTML文書、画像)が表示されるようリンクも張る。レッツノートと一緒に資料の本を担いで歩いていると、腰に負担がかかるため、必要な資料はハードディスクの中に収め、クリック一発で表示されるようにするためだ。
     ところが、あまりにもハードに使いすぎるせいか、愛機レッツノートAL-N2の一番よく使う「A」のキーの反応が鈍い。文章を書いているとイライラするため、パナソニックのサポートセンターに電話。2カ所ほどタライまわしにされて地元の修理センターに、交換用のキーボードを取り寄せてもらうことにする。「自分でキーボードの交換ができますか?」と、しつこく訊かれたが、すでに何度もキーボードは、はずしている。キーの裏にあるクッション用の小さなゴムの部品が傷んでいるのが原因だってことも確認ずみ。本当は、このゴムだけ交換すれば生き返るはずなんだけど、キートップの文字も消えている状態なので、思いきってキーボードごと交換してしまうつもり。
     夕食後、児童書の文字原稿にかかるが、久しぶりの子供向けの文章なので、調子が出ない。使える言葉や漢字に制限があるうえに、文体も「ですます」調なので、どうも文章に勢いが出ない。もっとも学習書なので、わかりやすいことが最優先なのだが。
     調子の出ないまま原稿を進めていると、午後11時になって長女からSOSの電話。学校で課題をやっていて帰りが遅くなり、バスがなくなってしまったとのこと。外は土砂降りの雨なので、しかたなしに荻窪までクルマで迎えにいき、長女を家で降ろして、そのままクルマでファミレスに向かう。午前3時までかかって、やっと、ノルマの原稿を上げ、眠い目をこすりながらクルマで帰宅。ビールを飲んで、すぐに布団に潜り込む。

    11月16日
     午前中に起き、昨夜書いた文章をPageMaker 6.5Jでレイアウト。できあがりイメージを見せないといけないため。ダミーのレイアウトなので、写真類は、検索エンジンを使って探した写真を使う。
     編集プロダクションにFAXモデムで送信しようとしたら、FAXの愛称が悪いのか送信できず。しかたがないのでレーザープリンターで印刷したものをFAXし、PageMaker 6.5JのファイルをPDFに出力したものもメールで送信する。
     ほっと一息ついて、田舎の従兄弟が送ってくれた山芋のトロロ汁で夕食。その後、別のファイルをPDF化していたら、編集プロダクションからPDFファイルが届いていないとのメール。再送信しようとしたらテレホーダイ・タイムになって、@niftyにつながらない。根性でリトライし、やっとこさ真夜中に再送信。
     そのついでに受信したのはロサンゼルスに住むコンピュサーブ・モータースポーツ・フォーラムのSysOp、マイクさんからのメール。いま小学生のひとり娘、シャロンと一緒にテレビで「ポケモン」を見たそうで、そのとき、同じ日本製のマンガを描いていたぼくのことも思い出したらしい。何かポケモン・グッズを見つくろって、シャロンに送ってやろう。マイクさんと最後に会ったのは、92年の東京モーターショーのときのアイルトン・セナの記者会見でだったから、もう7年くらい会ってないのか……。93年のインディ500では会い損ねたので……。

    11月17日
     注文してあったレッツノートのキーボードが届いたと電話があったので、クルマで光が丘まで受け取りにいく。カウンターで受け取り、中身を確認しようとすると、「確認してありますから」とのこと。確かに伝票にも「AL-N2」の文字がプリントされていた。そこで箱に入ったキーボードを受け取り、近くのファミレスに出かけ、そこでキーボードの箱をよく見ると、こちらのレッツノートは「AL-N2」なのに「AL-N3」と書いてある。「あやや……」と思って中身を見れば、やはり機種ちがい。ファミレスでキーボードを交換しようと、ドライバーまで用意していったのに……。
     しかたないので再び営業所に戻り、交換をお願いする。伝票には、確かにこちらが伝えた「AL-N2」の機種が書かれていたが、キーボードの型番を確認するときに「AL-N3」のものを指定してしまったらしい。とりあえず返金を受け、「AL-N2」のキーボードは在庫はあるとのことなので、再び取り寄せを依頼する。明日には到着するとのことだが、明日から出かけてしまうので、受け取りは来週に。
     二度手間になってしまったが、こんなミスは誰にでもあることでしょう。とりあえず帰宅し、仕事に専念。調子の悪かった「A」のキーも、なぜか反応がいい。

    11月18日
     午前中に起きてクルマで「ツインリンクもてぎ」へ。今日から、アメリカから来たNASCAR・ウィンストン・ウエスト・シリーズ最終戦が始まるため、その取材。常磐道も順調で、2時間半ほどで、もてぎに到着。走行中のフリー走行のリポートを送るべく、携帯電話経由でインターネットに接続しようとすると、ダイヤルアップネットワークのパスワードが通らない。アット・ニフティもダメ、コンピュサーブもダメ。パスワードの間違いではなく、ダイヤルアップネットワークの設定ミスか何かのようだ。
     自宅ではISDNルーター経由で接続しているため、ダイヤルアップネットワークは使っていないのだが、この夏、柴田よしきさんのオフライン宴会で使ったときは問題なしだった。あれから何があったかと記憶をたどると、Windows 95の再インストールをやっている。ダイヤルアップネットワークは、マイクロソフトのサイトからダウンロードしてあった最新版をインストールしてあったので、どうやら、ここに問題があったらしい……と推測。
     とりあえずアット・ニフティもコンピュサーブもTTY接続で接続し、速報だけはなんとか完了。
     ツインリンクもてぎ内のホテルで開催されたパーティーに出席した後、クルマで茂木町の隣にある市貝町のビジネスホテルにチェックイン。夜は原稿を書くはずが、睡眠不足のために早々とダウン。

    11月19日
     ホテルの前の道路を走るクルマの騒音で、午前5時に目が覚めてしまう。寝直そうと思ったが、クルマの走行音が耳について寝られない。東京23区内に住んでいるのに、実に静かな土地柄なので、どうも騒音には弱くなっているようだ。
     自動販売機の缶コーヒーを飲んで目を覚まし、レッツノートに向かって架空戦記の原稿を書く。
     朝食をとってツインリンクもてぎに向かい、フリー走行と予選の取材。予選では福山 英朗選手の乗ったシボレー・モンテカルロがターン2でスピン。リアから壁に激突し、燃料タンクが破損してこぼれたガソリンに引火。マシンは炎に包まれる。福山選手は自力で脱出したがマシンは丸焼け。予選は1時間近くも中断となり、ただひたすら再開を待つ。
     待ち時間の間、眠気ざましにパドック内のレストランにカプチーノを飲みにいくと、売店でホンダが開発した二足歩行ロボット「P2」のプラモデルを売っているのを発見。つい衝動買いしてしまう。「レゴ・マインドストーム」も、まだ組み立てていないのに……。
     リポートを送信するためプレスルームからアット・ニフティにアクセスすると、仕事のことで打ち合わせしたいとのJ社編集者からのメール。了解の返事を送ると、あちらは常時インターネット接続の環境のためか、即座に返事が戻ってくる。予選とフリー走行のリポートを送り込むついでに、仕事の打ち合わせも終わってしまった。
     寝不足で眠くてたまらないが、クルマの騒音で寝られないといけないので、プレスで来ていたTさんからイヤープラグ(耳栓)をせしめ、さらにホテルに向かう途中の酒屋さんでウィスキーの小瓶を買い込む。酔っぱらって寝てしまおうという計画だ。
     ホテルに戻り、睡眠薬がわりに自動販売機の缶ビールを飲みつつアット・ニフティにアクセスすると、こんどは「自称すがやみつるの弟子」のT社の編集をしているH嬢からメール。なんとマンガを描いてほしいとの依頼。よそから来るマンガの仕事は、すべて断ってしまっているのだが、携帯電話で連絡をとってみると、どうも締切まで余裕がなく困っているらしい。書き下ろしの原稿を抱えている身だが、これくらいのページ数ならなんとかなりそうだ……ということで、マンガの仕事を引き受けてしまう。自分でペン入れしたコマ割りマンガを描くのは何年ぶりのことだろう。マンガの道具は娘たちにあげてしまったので、貸してもらわなくてはいけない。
     とりあえず電話で打ち合わせをすませ、ホテルの隣にある回転寿司屋で缶ビールを飲みながら食事。宿に戻って、さらに自動販売機の缶ビールを1本。これで眠気に襲われ、たちまちグー。
     ところが1時間ほどで目がパチッ。そうなると原稿のことが気にかかって眠れない。えいっ、とシャワーを浴びて眠気をさまし、またパソコンに向かい原稿を書く。しかし、明日も早いので寝なくてはいけない。ウィスキーを飲みつつ原稿を書き、結局寝たのは午前2時。

    11月20日
     耳栓をして寝たおかげで午前9時までグッスリ。まだ寝たりないが、とりあえず朝食もとらずにツインリンクもてぎへ。午前中はセレモニーが主体なので、施設内にあるコレクションホールに向かい、本田宗一郎氏が製作に参加し、みずからもライディングメカニック(機関助手)として参加したレースで優勝した「カーチス号」などをデジタルカメラで撮影。さらに売店で本田宗一郎氏に関する本も数冊買い求める。
     決勝レースは、グランドスタンド上のプレスルームで観戦。レースを見ながら英語で速報を書き、コンピュサーブに送っていく。走っているレースが、アメリカ西海岸を転戦するシリーズで、西海岸のメディアが、ぼくのリポートをラジオや新聞などの資料にするはず。そのため送信する前にスペルチェッカーを使って単語のミススペルをチェック。急いで書いているもので、けっこうミススペルが見つかる。
     土屋圭市選手は、一時3位を走行するものの、エンジンが壊れてリタイア。レースはチェッカー直前にクラッシュが連続したため、ついにイエローフラッグの追い越し禁止状態のままチェッカーを受けた。
     レース後、レース記者の皆さんとお喋りしつつ時間をつぶし、渋滞がなくなった頃合いを見計らって午後7時にツインリンクもてぎを脱出し、水戸インター経由で帰宅。途中、食事と給油をしたが、所要時間は2時間半。いつもこれくらいだと楽なんだけど……。
     帰宅後、レッツノートをLANにつなぎ、マイクロソフトのサイトからダイヤルアップネットワークの最新版をダウンロード。これをインストールすると、みごと、携帯電話経由でもインターネットに接続できた。ついでにインターネット専用メールをチェックすると、30通以上もたまっていた。


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